コントラクトMRの徒然

医薬情報担当者として働いている、コントラクトMRの日常を紹介します。勉強法や業界についても記していきます。

そもそも医薬品の営業とはなんぞや?ということ

病院に行った時に「あのスーツの団体はなんぞや?」と感じたことありませんか?

 

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「あーしんどい風邪気味かも。午後会社休んで病院いこっかな」と、わざわざ休みをとって病院にいった所、病院の風景に全くに合わないスーツの方々を見かけたことってありませんか?

 

MRという仕事を知らない状態で病院にかかると、一度は違和感を感じるかと思うのですが、少なくとも僕は学生時代に「病院が閉まるギリギリにいっつもきてるアイツらはなんやねん?」的な目線で見ておりました。

 

夏でもジャケットを羽織り、ネクタイをしっかり締めた彼らは、季節感的にも非常に浮いた存在であることは明らかです。

 

そんな彼らの正体って気になりませんか?

 

彼らの仕事は「医薬情報担当者」通称MR

スーツの団体の正体は「MR:医薬情報担当者」と呼ばれる製薬企業の薬の営業マンです。 通称MR(エムアール)と略して呼ばれることが多いのですが、ざっくりどのような仕事をしているのか紹介すると、各製薬企業の薬や医療機器を、医療機関に訪問し、医師や医療関係者に対し情報を提供することを生業としております。

 

しかし、情報提供をしているだけでは、営利企業として利益を上げることができませんので、営業的側面を持ち合わせております。

 

そのため、自社の薬を医院で採用してもらい、処方し続けてもらうだけでなく、その処方量を増加させることが目的となります。

 

つまり、MRの仕事は、情報提供を通して医師に薬の魅力を理解して頂き、その薬の処方量を増加させ、利益をあげることが最終目標となります。

 

そのためには、幅広い情報提供が必要となるのですが、

 

他剤と自社製品の違いや優位点を紹介するのはもちろんのこと、医療制度・診療報酬・基幹病院の人事情報など・・・多肢に渡る情報をあらゆる方法で入手し、提供する必要もあります。

 

 しかし、一番重要な仕事は自社製品の紹介ではありません。

 

患者への薬の影響具合の調査

薬はそもそも人体にとって異物であるため、長期間にわたって投与されたり、通常以上の用量を服用されてしまうと、体に何らかの悪影響が起きてしまう可能性があります。

 

その情報を収集することもMRの大切な仕事の一つです。

 

1つは、副作用情報の収集が大事

もし、患者になんらかの副作用が発生してしまった場合、MRが医師や医療関係者からその情報を聞き取った場合、24時間以内に本社の副作用収集担当事務所に連絡する必要があります。

 

副作用の程度については鼻血や内出血といった軽度なものから、脳梗塞や消化管出血・腸管穿孔など重度なものまで、医師が収集依頼を断らない限り、報告する義務があります。

 

これを怠ると、製薬企業として医療機関からの信頼が無くなるだけでなく、最悪の場合、業務停止命令や薬の製造販売権の停止などにもなりかねません。

 

報告することで、患者への対処方法を調査出来るだけでなく、今後の対応策についても検討することが出来るため、MRの重要な仕事の一つとなります。

 

また、もう一つの重要な仕事としては、

 

薬の長期服薬状況の把握

こちらは、糖尿病や高血圧、慢性腎臓病などの生活習慣病関連の患者で多いのですが、薬の長期使用における、薬の影響度合いの調査を定期的に実施する必要があります。

 

なぜ、調査が必要かと言いますと、長期に服用することによって、徐々に薬の効果が弱くなってきたり、むしろ作用が強く現れることがあるためです。

 

このような現象は、ほぼ全ての薬で生じているため、「いったいどのような患者で同様の現象が起きているのか」「そもそも継続的に投与されているのか」などの市場の実態を調査するために実施されております。

 

業界用語で「育薬」と呼ばれたり「PMS:特定使用成績調査」と呼ばれたりしております。

 

あのスーツの軍団は、ただ暑苦しいだけじゃない

病院の中で、異物のように思われがちなMRですが、実は薬に関するあらゆる情報を収集し、それを提供するといった高度な業務内容を行っている営業マンだったのです。

 

もし、風邪などで病院で見かけられた場合は、あまり邪険に扱わず、そっとしてあげて下さい。